聖籠の家
デザインコンセプト
延床29坪の小さな家に、家族の希望が詰まった広々21帖のLDK。
バイパスにつながる大通りに隣接していながら、旗竿形状の敷地のため静かで落ち着いた環境です。小さな敷地の場合は周辺環境などからおのずと配置やプランが見えてきます。
しかしこの土地は140坪以上と広くL型のような形のため、いくつもの答えがあります。そこで設計士は、L型の中心部分に建物を配置し、駐車スペース・アプローチを兼ねたパブリックな前庭。広々遊べるプライベートな奥の庭をつくることを提案しました。
建物については、間取りとしてのご要望ではなく「ゆったりくつろげる居間と、将来お仏壇が置けるスペースが欲しい」というものでした。そこで、暮らし方や生活スタイルをしっかりとお聞きしながら完成したのは延床29坪の小さな家。1階には19帖のLDKに加え、2.5帖の畳コーナーを設けました。ただ広くするだけの空間では間延びしてしまうため、居間、食堂、畳コーナーと雰囲気を変えたたくさんの居場所を設けています。これにより、居心地にメリハリと楽しさが生まれ、シチュエーションや気分に応じて居場所が選べます。そして一番長い時間を家族で過ごすリビングは、約50坪の庭につながります。この土地に出会うまではこんなに広い庭を求めていたわけではありません。でも、これから家族で育てていく庭に楽しみと期待でいっぱいです。
ポイント1
メリットを優先した設計
将来の為の仏間を設けた2.5帖の畳スペースは、居間となんとなくつながり、なんとなくこもれる空間。お子さんのお昼寝、のんびり読書、親しい友人とお酒を飲む小上がり的な使い方など、目的をあえて設定しない多目的なスペースです。また、コンパクトな整形総二階にしつつ、LDKの面積を削らずにこのスペースをつくるため、お風呂を2階に上げています。それによって毎日の洗濯や物干、片付けは楽になりますが、老後については不安が残ります。ですがデメリットよりもメリットを優先することでちいさな家におおきな空間とたくさんの居場所ができました。
ポイント2
新築でありながら周囲に馴染む家
田園風景や以前からある工場が目立つ街並みを考慮して、あえて外観は小屋っぽい雰囲気にしています。軒の出のある三角屋根と赤錆色のガルバリウム鋼板が、新築でありながら以前からこの場所にあったようにさえ感じます。前庭、奥の庭にはこれからいくつかの木々が植えられます。少しずつ手を加え、家族と共に成長する庭は、これからの暮らしに豊かさを与えてくれるはずです。