松浜本町の家
デザインコンセプト
北側に設けたリビングから、将来に繋がる約20帖のお庭。
歴史を感じる商店街を少し抜けた場所。ござれや花火で有名な北区松浜地区に完成したこの家は、敷地面積が約38坪、延べ床面積29坪です。
南側はバスが通るような大通り、東側は細い道に面した、一般的に不動産価値が高いといわれる「東南角地」です。しかし、間口といわれる道路に面した幅が狭く、前面道路の交通量が多いこの土地の場合、プライバシーの観点から南側にリビングスペースを確保する事が厳しい状況。そこで設計士が考えた逆転の発想は、なんと全ての居住空間を裏面の北側に配置し、さらに北側に広い庭を確保することでした。北側の日照は天候にあまり左右されず、安定してほのかな明るさで落ち着いた雰囲気をつくりだす事ができます。さらに、庭の向こうには将来ご両親の家が建つ予定なので、それぞれの小さな庭をひとつの大きい庭として利用することができます。それにより周りの視線を気にすることなく、プライバシーを確保しながら豊かな暮らしにつながる重要なスペースになります。
1階には、5.3帖の畳スペースと8帖の居間など、空間が連続してLDKを構成しています。居場所と庭があいまいにつながり、帖数以上の広がりを感じる空間になりました。
ポイント1
「居間」と「畳スペース」
「年をとったときのためにも、何かあったときのためにも1階でも寝たい」というのが、1番の要望でした。しかし、一般的な20帖程度の大きなワンルームLDKに、将来の寝室を1階に設けるとなると、敷地面積的にも予算的にもオーバーしてしまいます。
そこで考えたのが「居間」と「畳スペース」という小さな空間を重なり合わせる計画。収納もしっかり設けた畳スペースは、将来の不安を解消するというだけではありません。今の暮らしにおいてはリビングとして、お友達を招いてゆっくり食事ができるダイニングとしても多目的に活用できる空間です。また、普段は居間とつながり開放感がある配置ながら、3枚の障子戸とウッドブラインドを下ろせば個室としてゆっくりとした時間を過ごすこともできます。
ポイント2
視線を防ぐ格子
玄関を開けたときに車や人の視線を防ぐことができるよう、ポーチには木製の格子を設けました。
外観は風情ある商店街という立地もあり、街になじむよう落ち着いた色を選択。
玄関先と北側に設けたお庭では、ご家族で植栽を楽しんでいただけるよう「土」のスペースを多く残しています。無機質な印象のガルバリュウムの外壁も、庭に植栽された「樹」の緑が加わる事で、なんともやさしい豊かな印象を与えてくれます。