熊木建築事務所ブログ

~窓の在り方について~

こんにちは。設計・現場管理の植木です。

今回は窓に関しての話です。

皆さん、窓にはどのようなイメージがありますか?

日光を入れる、風を抜く、風景を眺めるの様なプラスなイメージと、その反面、周囲からの視線が入ってくる、断熱が弱くなって結露がおきやすくなる等のマイナスなイメージがあると思います。

プラスを取り入れてマイナスを消していかなければならない、設計をしていてとても難しさを感じるところです。

今回はそんな窓に対しての取り組みをご紹介したいと思います。

 

■窓の役割

・S邸北側窓

風景を切り取る様につけられた窓です。

 

DSC_0269

冬は木々の葉が落ちて遠くまで視界が伸びます。

逆に夏は葉が生い茂って窓一面が緑になります。

せっかく北側に付けれた窓なので、通風用のルーバー窓も機能として取り付けています。

・S邸南側窓

DSC_0278

上の写真と向かい合って付いている南側の窓です。

前面道路があるので出入りはあくまでドアです。大きな窓ですが、掃出し窓(床に付く窓)にしていないのは、荷物が置けたり、窓の近くに床座で座っても違和感無く使えるようにと考えています。

窓を考えると、同時に壁の重要性も出てきますね。

北側の窓(1枚目写真)から入った風を南側の窓(2枚目写真)で抜く通風計画です。通風を確保しつつ北側からは風景、南側からは日光を取り入れています。

 

・Y邸

IMG_0602

北側の風景が良いので北に開いた窓です。

北側に開くというとあまり良い印象は無いかもしれませんが、安定してやわらかい光が入ってくれます。

日光が燦々と入るリビングも良いですが、落ち着いた光が入るのも良いものです。

 

・S邸

IMG_0225

 

向かって左側の窓は前面道路に面した窓。向かって右側の天井に付いている大きな窓は庭に面した窓です。

前面道路に面した窓は木格子で視線を遮り、庭に面した窓は天井に付けて外まで広く視線が伸びるように取り付けています。

 

DSCF5080

前面道路側の窓には木格子が付いています。

 

■窓枠について

設計をしている時、どのように窓を見せたいか悩む時が多々あります。

(窓を主張させたいのか、存在を消したいのか…)

そんな時は大工さんの力を借りて、窓枠の納まりを変えています。

それぞれの窓枠の形状が違う為、大工さんにはとても手間をかけてもらっています。一部ですが、ご紹介します。

 

・N邸 (新潟市)

窓に額縁を廻す

DSC_0264

キッチンに付けた窓は額縁(ケーシング)を廻し、少し豪華にして存在感を出しています。

窓の主張は強くなりますが、この家は奥様が生活の大半をキッチンで過ごす為、額縁越しに外の緑が眺められるようしています。

(写真は夜に撮影しているため、外の緑まで見えずですみません…。)

・N邸 (燕市)

クロスを巻き込んで窓枠の存在感を消す

IMG_0963

向かって左側の窓です。

右側の窓と比べて(右側は木枠を四方廻しています)窓枠が見えない分、すっきりとした印象になります。

むやみに木の枠を廻すと、時に野暮ったくなってしまいます。これも空間の質を上げるためのバランスですね。

 

・高志元モデルハウス

木製格子網戸でアルミサッシの存在を消す

1100

 

向かって左側の窓です。

木製の格子網戸を取り付けることで、室内から見るとアルミサッシの姿が見えなくなってくれます。

 

・高志元モデルハウス

アルミサッシの框も消す

1132

庭の樹木を際立たせるため、窓枠だけでなく、アルミサッシの框も見えなくするように納めています。

外の緑が切り抜かれたように見えてくれればと考えました。

 

ほんの一部ですが、今回は窓についての取り組みを紹介させていただきました。

断熱性能や機能面に目が行きやすく、性能・数値で良し悪しが決められてしまいがちな窓ですが、生活を豊かにすることや、外部の視線から生活を守ること等、デザインや暮らしにも大きな影響を与える重要な存在です。

何気ない部分かもしれませんが、性能・数値以外の部分でも目を向けてみると、意外な発見があるかもしれません。

職人さんの技術にも支えてもらいながら、暮らしに寄り添った窓を提案していければと思っています。

 

 

今年も1年ありがとうございました。

ブログを通しですが、家造りを検討している方々のご参考になればと思い始めさせていただきましたが、私自身、良い勉強をさせていただきました。

また、快く撮影に協力していただいた施主様にも感謝申し上げます。

今後も設計・現場管理としての目線から情報を発信出来ればと思っております。

皆様にとって良い1年になりますよう祈念して今年最後のブログとさせていただきます。

来年も宜しくお願いいたします。

 

ページの先頭へ