熊木建築事務所ブログ
2018.6.22(金)/お知らせ
~家の佇まい~
こんにちは。設計・現場管理の植木です。
皆さんは家の佇まいに関してどのようにお考えでしょうか?
・かっこいい形にしたい
・今の流行の形にしたい
・長持ちな素材を使いたい
等々。
様々な希望・要望があるかと思います。が、実は設計をする上で、建物の形や素材は周囲の状況(場所)に左右されることが大いにあります。
特に何十年とその場に残るものなので、風景に配慮し、近隣に配慮し、土地の特性(方位は?広さは?等)を理解したうえで形が決まっていくと思うと、自然と(人)の要望の序列は後ろに回っていきます。
今回はその形になった理由をお伝えしながら数件ご紹介したいと思います。
■Y邸
昔の街並みの残る場所で建ちました。
Y様も日本的で昔からある風景が気に入って決めた土地なので自然と風景に合う家となりました。
撮影した日がたまたま曇り。
新潟県では良く見る空の色ですが、雨の似合う様なしっとりとした佇まいです。
こちらは晴れの日の撮影。
大きな軒の出が、雨や日差しから生活を守ってくれます。
数値としては出せないですが、外壁面の温度上昇を防ぐのにも一役買ってくれているハズ??
■天野建売住宅
新規の分譲地に建ちました。真ん中の白い外壁の家です。
若年層、核家族を想定した建売住宅なので、少しかわいらしくなる様に外壁の素材や色を決めています。
家のテイストはY邸と全く違えど軒は大きく出しています。
小雨程度なら慌てて窓を閉めなくても大丈夫なので、生活を楽にしてくれます。
この街は、街全体で外とつながることを目指した分譲地です。
積極的に外に出れるような庭造りをしています。
これも風景の一部になってくれると良いですね。
■H邸
4m道路で行き止まりの狭小地で建ちました。
密集地の場合は特に近隣への配慮が必要です。
北側の屋根を低くすることで、出来る限りお隣にも太陽の光が届くように配慮しています。
敷地によっては落雪等を考えるて軒を出せない場合も庇などで可能な限り対応しています。
同じ三角屋根でもY邸とは全く違う雰囲気になりますね。
「場所」も「人」も違うので、その場所に合ったデザインになっていきます。
■N邸
周囲は古い街並みでミニ開発の分譲地の角地に建ちました。
角地は特に通行人の目に触れます。
街に対して圧迫感が出ないように、道路側に下屋を配置して建物を奥に引っ込めています。
角地の場合は外から家の中を見えにくくするような工夫も必要になってきます。
中から見るとこんな感じです。
露骨に閉じすぎず、かといって見えすぎずにする為にも現地での検討は必須です。
それぞれの家の形の理由を紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
理由をあげていくと、意外と建物の形や素材や色が設計者や施主(人)の好みだけで決まっている訳ではないということがお分かり頂けるかと思います。
今回あげさせていただいた理由以外にも、「予算」や「住まい手の人柄」等、まだまだ多くの判断材料の中から検討しています。
愛着の持てる家にする為にも、自分たちだけでなく、周囲からも愛される家造りを目指していきたいと思います。